【Before The Huddle 第1回】
川瀬 拓哉「自分に勝てるのは」
明法高校より中央大学に入学。
高校時代はアメフト部でポジションはOL・DL
大学1年目はOLとして2試合出場。
2年目の春からFBとして活躍。秋にはOLに戻り1本目として活躍。
今年の2月にTEに転向し春シーズンより活躍。
元OLの力強いブロックとWR顔負けのレシーブ能力は関東随一。
 

(4年 TE 179cm 100kg)
 
《Q 1:アメフトはいつから始めましたか?》
 
高校1年生から始めました。
 
小学校4年生から高校に入るまではずっと野球をし続けてきました。
ポジションはキャッチャーとピッチャーを試合ごとに入れ替わりやっており、ずっと4番バッターをやっていてバットでチームを沸かせていました。
 
高校でも野球をやろうと思っていましたが、求めていた環境とは違い野球をする選択肢は消えました。一度は本気で東大を目指そうと思いましたが、2日間かけて15分しか集中力が持たなかったので早々に諦めました。
 
そんな時に今も同じチームの吉原(4年RB)に誘われたのがアメフトを始めたきっかけです。
明法高校のアメフト部は自分達の代が1期生なので各部活から選手を引き抜いたりして15人程のメンバーを集めました。現在も大学で続けている同期が多く、励みになっています。
 
 
《Q 2:大学でアメフトを続けている理由は何ですか?》
 
とにかく勝利を味わいたいからです。
 
自分はスポーツ推薦なんですけど、大学でもアメフトを続けたいと思った試合があります。
それは高校最後の試合である明治学院戦です。自分の代はチームの人数が5人になってしまい、合同チームを結成してトーナメントに挑んだんです。
合同チームは基本的にあまり勝ち進めないのですが、3回戦まで勝ち進むことができました。その三回戦が明治学院戦でした。
当時の明治学院は現在チームメイトの畠(3年OL)や杉浦(3年SF)が在籍していてかなり強く、1ポゼッション差で負けてしまいました。そこで負けてばかりじゃつまらない、とにかく勝ちたいと思って中央大学でアメフトをする事に決めました。
 

 
 
《Q 3:アメフトをするに当たって意識している事はありますか?》
 
常に昨日の自分に勝つことです。
 
自分は誰かを打ち負かすというよりは自分が日々成長した先に勝利があるというスタンスでアメフトをやっています。
「自分に勝てるのは自分だけ」これが自分のポリシーです。
 
ただ、対戦校は誰よりも意識している自信があります。
練習中に自分は中大のディフェンスと戦っていると思った事は一度もありません。練習中は常に対戦校のディフェンスが目の前にいると思ってプレーしています。
このことは2年生の時に慶應のDLの選手に圧倒されて以来ずっと意識してプレーしてきました。
 

 
 
《Q 4:今年の2月にOLからTEにポジションをコンバートしたことに関して思うことはありますか?》
 
とにかく怖かったです。
 
正直もう試合に出られないかもしれないと思いました。自分はOLのまま行くんだろうなと思っていたところ蓬田HCと岩井(4年AS)からTEにコンバートしないかと提案されたのがきっかけです。
 
昨シーズンのオフェンスの課題の一つとしてTEがあげられており、自分が変えてみせるという思いで決断しました。また、元々ボールを持ってファンを沸かせたいという思いがあり、自分の中でもTEに興味はありました。
 
自分はとにかく観ている人を沸かせたいという思いでアメフトをやっています。
その点に関してOLはかなり細かく見て頂かないと活躍を理解して頂けないなと思い、やりがいを見出せずにいました。
 
入部当初はDLとしてプレーしたいという思いがあったのですが、当時のチーム事情を汲み取りOLとしてプレーする事にしました。当時はDLに未練がありましたが、今改めて考えるとOLをやっていなければTEという今のポジションは無かったわけですから、間違った選択では無かったなと感じます。
 

 
《Q 5:OLからTEにコンバートしてOLの能力が活かせると思った点はどこですか?》
 
実際にコンバートしてみて、OLで培ってきたステップはTEに生かされていると思います。また、何よりもOL時代から続けている練習前のキャッチボールが今になって生きているなと感じます。
 
ただ、ずっとOLを続けてきて4年になるタイミングで抜けてしまった事に関してOLユニットには申し訳ない気持ちがあり、恩返しの為にも結果を出さなければいけないと感じます。
 
《Q 6:今までのシーズンを振り返ってみて印象深いシーンはありますか?》
 
日体戦が印象深いです。自分は脳震盪で出場できなかったのでとにかく悔しかったです。
 
もう1つ印象的なシーンとして一昨年の秋の法政戦があげられます。タイブレークの末、歴史的勝利をした試合です。その試合で大津(3年RB)がタッチダウンを決め会場を沸かせているのをフィールドに立ちながら間近に感じました。
 
その瞬間、自分も注目される選手になりたい、会場を沸かせたいという思いがこみ上げてきました。ずっと目立つ活躍ができる選手になりたいと思っていたので、TEにコンバートしたことは自分にとって大きなチャンスでした。
 

(photo by Naoki kitagawa)
 
《Q 7:今年の春シーズンに課題だと思った点はどこですか?》
 
春シーズンを通して痛感したTEとしての課題は、プレー中に相手ディフェンスのカバーを読みきれ無かったことです。
一瞬でカバーを読むことに慣れず、結果的にボールに絡めない機会がありました。
 
《Q 8:秋シーズン、注目してほしい所はどこですか?》
 
自分の柔軟なキャッチに注目して頂きたいです。今年2月までOLでずっとボールに触れてこなかった男が、しなやかなキャッチで会場を沸かせてみせます。
 
《Q9: 川瀬にとってアメフトとは?》
 
自分にとってアメフトとはブラックコーヒーです。
 
自分はブラックコーヒーが好きで毎日飲んでいます。もう病みつきになってこれが無いと生きていけないくらいです。ブラックコーヒーの好きなところは、奥が深くてコクがあるとこですね。
 
それってアメフトにも言える事で、プレーに関しても奥が深いですし、組織として色んなポジションがあって味があります。そして、それぞれ色んな思いを抱えてプレーを遂行しているというコクがあり素晴らしいスポーツだと思います。
 
《Q 10:ラストシーズンにかける思いをお願いします。》
 
もうラストシーズンだと思うと感慨深いです。
入部当初、現主将の神谷(4年DL)と仲良くなろうと思ってコミュニケーションを取ってみたのですが、距離感を間違えてしまい、気がついたら仲が悪くなっていたのがつい最近に思えます。
今では言葉を介さずとも理解し合える仲になりました。あの件があっての今の関係があると感じます。
ラストシーズンは特に後輩とスタッフの為に、例え骨が折れようとプレーし続けます。
 
TEをやっていて顕著に感じるのがボールの重みです。
最近自分がボールをキャッチする瞬間に後輩の姿が頭によぎる事があります。
自分がTEにコンバート出来たのもOLの後輩がしっかり育ってくれたからだと思うのでその後輩の為にも絶対に結果を出したいと思います。
 
また、自分はヘルメットを被ると性格が変わってしまうところがあります。
良くも悪くもアメフトに没頭してしまう為、スタッフに対しては厳しい要求を多くしてきました。今になっては言いすぎたと思い反省する点もあります。
支えてくれているスタッフの為にも今シーズンは結果を残します。