【Before the Huddle 対談インタビュー第2回】
DBコーチ藤本浩貴、DB 53期 木野康平

Q. 藤本コーチがラクーンズでコーチを始めたきっかけ
藤本浩貴:
当時のヘッドコーチ蓬田さんからラクーンズが日本一にまだなったことがないことからコーチ体制を整えたいとお声をかけて頂きました。その時、社会人チームIBMでコーチをやっており、僕自身アメフトを通じて成長したいと思っていたので、いいキッカケになりました。4年間しかない学生生活の中で成果を出さなければいけない中、人間形成という点でも一緒に成長でき、社会人とは違う楽しみがあると思い、ラクーンズでコーチを始めました。
Q. 木野選手がアメフトを始めた動機
木野康平:
小学生の時、兄と一緒にジュニアシーガルズでフラッグフットボールを始めたのがきっかけで、中学でタッチフットボールを習いました。痛いし、相手に痛みを与えてしまうのも嫌で二度とこんなスポーツはやらないと思っていました。大学に入り、アメフト部の勧誘を受け、体験会に行ってみるとやはり楽しく、経験があった分、周りよりボールを取れたことが嬉しく、結局アメフト部に入部しました。その時兄が京都大学でアメフトをやっていて父も大学時代にアメフトを経験していたアメフト一家なのでこうなるのは運命だったのかなと今考えたら思います。
Q. 木野選手からみた自分の成長
木野康平:
1年生のWRの時は教えてもらったことをひたすらやるという感じでした。2年になってDBにポジション変更してからは当時の4年生の金子さん(51期卒)、古和田さん(51期卒)、片谷さん(51期卒)がその時なにもわからなかった自分にDBとしての基礎、知識、テクニックを教えてくれました。また、一平さん(4年#34)や賢信さん(4年#48)が毎日アフターでマンツーマンのメニューやヒットの練習を一緒にしてくれました。DBに来てからは自分の意見とか思ったこと、改善した方がいいことを自分で考えたり、先輩に積極的に言えるようになってからアメフトへの取り組み方、意識が変わってきました。自分のストロングポイントや適性を見てWRからDBにコンバートして下さったことに感謝していますし、やってやろうと強く思っています。

Q. 藤本コーチから見た木野の成長
藤本浩貴:
昨年は木野自身ポジション変更したということもあり、試合にもなかなか出られなくてモチベーションもあまり高くできなかったのかなって思ってました。
今のラクーンズには身長とフィジカルに長けたDBがそんなにいないこともあり、木野自身自分の強みを最大限に活かしそこをカバーしようとしていることを身をもって感じています。また、3年生になって自分がディフェンスを引っ張るという意識が芽生えて自分のことだけじゃなく周りを見ながらフットボールをしているところを成長として感じています。
木野康平:
ありがとうございます。
Q.  2人にとってアメフトとは
木野康平:
僕は父も兄もアメフトをやっていたので僕の人生のなかでアメフトがずっと身近にあって、家族の中で共通しているものなので、それに大学4年間賭けられることが幸せなことかなと思っています。アメフトは跳ぶ、走る、当たるっていった全スポーツのあらゆる能力が必要な競技で、やっぱり団体競技なので仲間と様々な感情を分かち合えたりそういうところで最高のチームスポーツだなと思っています。
藤本浩貴:
これまでのフットボール経験では、辛かったり、嬉しかったり、アメフトを通じてここまで人間として成長できるスポーツは他にはないと感じています。木野が言っていたように団体スポーツであり、考えてやるスポーツであり、体をぶつけあうスポーツであり、僕自身特に大学4年間はかなり成長させてもらいました。まだまだ日本におけるアメフトはメジャーなスポーツではなく、また中央大学は未経験選手が多いチームです。その中でコーチの立場として、選手が考えていることを聞き出し、考えに対するアドバイスをすることで選手が成長しているのを身をもって感じています。辛い練習の先には目標があってみんな日本一を目指す情熱はやっぱり僕自身選手を引退してもその情熱は消えず今も持ち続けています。また、その喜びを共感したいと今でも思っています。その感情はアメフトの本当の素晴らしいところであり、欠かせないところだと思っています。
木野康平:
今年須永さんにラクーンズに来ていただいてからチームがより組織化していると感じています。須永さん自身日本一を経験している方なので僕たち学生の日本一に対する情熱の足りなさや甘さを練習のたびに自覚します。より厳しい道を自分たちで考えて選んでいかないと日本一には到底なれないと思っています。
藤本浩貴:
須永さんは実績もあってキャリアを積まれてきている方です。どうすれば対戦相手に勝てるのか、その勝つために必要なレベルに対してラクーンズに何が足りず、どこまでやらないといけないか須永さん自身がわかっていると思っています。それを今、ラクーンズの学生に求めていると思います。ただそのレベルがまだ足りていないので、僕自身日々の指導で様々な事を学生に求めながら練習に臨んでいます。最低限必要なフィジカルやメンタルを身につけないと対戦相手に勝てるようなチームにならないと思っています。
Q. 2人が思っているラクーンズ像
藤本浩貴:
個人能力で勝つチームではなく、本当に1人1人の積み重ねでそれが組織の総合力となって結集した力でしか勝てないチームだと思っています。スポーツ推薦の人数など限られている中で中央大学は半分以上が大学からフットボールを始める学生の組織ですので、個人の能力を向上させ結集したときに強くなるチームだと思っています。なにより学生一人一人が真摯にフットボールに向き合い、自分自身が上手くなろうという気持ちが強いチームなのでそういったところを最大限活かすことが勝利への近道だと思っています。
木野康平:
僕も藤本さんに似ていて、未経験が多い中で先輩が親身になって教えてくれるといういい伝統が毎年繰り返されていてそういう縦のつながりは他の大学に比べて強いのかなって思っています。未経験は白紙の状態でアメフトを始めるので偏ったプレースタイルなどがなく、先輩の話もよく聞いたり、より素直に取り込めると思います。DBは特にファミリー感が強く、いい意味でラクーンズらしいポジションだと思います。
Q. 新入生を含め、DBの後輩について
木野康平:
自分から見て出木岡(2年#45)はCBの中で自分のライバルで、最初からどんどん成長している選手です。本人も言っていましたが、去年の途中くらいから伸び悩んでいて、成長が止まったのではないかと話したこともありました。ですが、今年になってアメフトに良い意味で慣れて来て、プレーも正確で技術的なところも上手くなってきています。自分としてはCBの枠は 2個しかないので、切磋琢磨できる同じ未経験の後輩なので一緒に成長していきたいなって思っています。
藤本浩貴:
ディフェンスの中でもチームの中でも一番レベルの高いポジションだと思わせたいと思っています。先ほど言ったように未経験が多い中でみんな自分自身が能力をあげていくというところで成長も感じられるし、逆に伸び悩みもあるかと思いますが、その中で試合に出場するための技術力や基礎力や精神力をこれまでの経験踏まえて教えてあげたいと思っています。あとは人として一人前になってほしいなとDBには思っています。DBの4年生は面倒見が良く、明るく、リーダーシップを毎年発揮してくれる選手が多いポジションです。面倒見がいい=信頼関係に繋がると思うので4年生の働きかけに対して後輩も応じてくれています。なので毎年雰囲気が良くなると思っています。
木野康平:
DBは毎年下級生が素直でいい意味で下級生らしいポジションです。先輩の話を聞いて、上手くなろうと真摯に取り組んでくれてついて来てくれるのでファミリー的な雰囲気が毎年感じられるのがDBのいいところです。
 

Q.  コーチとして今年の試合選手に期待すること
藤本浩貴:
学生生活は4年間しかないので後悔せずに自分の成長とやると決めたことに対してここまでやったと悔いのない取り組みをしてほしいと思っています。僕は「日本一になろう」とは、あまり言いません。4年間しかない学生フットボール生活で学生の決めた目標と目的を達成するための手助けをすることが僕自身のモチベーションでもあるので毎年選手に期待しています。
Q.  秋の試合に向けてのモチベーション
木野康平:
無観客だろうと試合ができることには変わりなくてそれはありがたいことだと思います。去年はWRからDBへコンバートして1年目でしたが、少しではあるけど秋のリーグ戦に出れたので、その経験を活かして今年は終始試合に出れる年にしたいと思っています。また自分のプレーでチームに貢献できるのが初めてなのでそういった面でしっかり戦力としてディフェンスの中でも目立つ活躍がしたいと思っています。
藤本浩貴:
こんなご時世ですが秋シーズンが開催されるということで学生が決めた目標に向かって取り組んでくれてモチベーション高くやってくれていることが僕のモチベーションです。ラクーンズは着々と力をつけており、短期決戦ということもあり何かを起こすチャンスかなと思っています。
Q. 秋シーズンに向けての展望
木野康平:
意識するのは法政大学、日本大学(以下法政、日大)です。去年の法政戦はFGで負けてしまって悔しくて法政にリーグ戦で勝ったことがないってところでラクーンズの歴史に自分たちの名前を刻むチャンスです。日本一を目指すという上では絶対に倒さないといけない相手なので去年の借りを返すって意味でも法政には絶対に勝ちたいと思っています。日大は実際に試合したことないですが、間違いなく意識せざるを得ない相手なので必ず勝ちたいと思っています。
藤本浩貴:
日大がリーグ戦に出て来て本当に厳しいシーズンだなと思っています。本当にどこのチームが勝ってもおかしくない中で力というかミスした方が負けじゃないですけど、安定した力がないと勝てないリーグになってきたなと思っています。だからこそ準備期間が短い中で1日も無駄にできない、内容の濃い練習を積み上げたチームが勝って行くのではないかと思っています。自己力や組織力があるチームが勝ち進むシーズンなのでシーズンインを迎えるまでしっかり1日1日積み上げて準備していきたいなと思っています。

Q. 家族へ
木野康平:
僕自身家族に感謝していて、自分の好きなことをさせてもらい、兄と同じような経験をさせてもらいました。けど、自分は兄のように良い結果を出せてないので家族に恩返しすることができていません。大学では兄は日本一になれなかったので今年自分が日本一になることで家族に恩返ししたいと思っています。普段言葉とかで言えない分アメフトで見せるので今シーズンの自分を見てもらいたいです。
Q. 保護者の皆様、OB OGの方々への一言
藤本浩貴:
日頃よりラクーンズを応援して頂きありがとうございます。朝早くから夜遅くまでの活動の中で色々とご協力ありがとうございます。学生の目標に対して僕自身、全力でサポートしたいと思っています。何より学生が後悔しないような4年間をコーチという立場から提供してあげることが僕の役割だと思うのでこれからも宜しくお願い致します。
OBOGの皆様、長年ラクーンズの歴史を作り上げて来てくださったことに感謝しています。いい伝統は引き継がれ、今の学生も継承して来ていますが、まだ結果が出ていません。後一歩のところまで来ており、それを結果として導き出すのはコーチの役割でもあるので、学生と一丸となって目標に向かって取り組んでいきますので、引き続きご声援の程宜しくお願い致します。