【Before The Huddle 9回】
ヘッドコーチ 須永恭通 「殻を破る」
高校時代にアメリカンフットボールと出会い、QBとして活躍。チームの日本一に貢献した。
社会人では日本代表に選出され、海外のチームでもプレーをした経験を持つ。
選手引退後は、社会人リーグ、学生リーグでコーチのキャリアを積み、2011年から9年間ノジマ相模原ライズでヘッドコーチを務めた。
今年度より、ラクーンズヘッドコーチに就任。

1.須永さんにとってラクーンズの印象は
ラクーンズの第一印象はしっかりと挨拶をする礼儀正しいチームでした。礼儀や規律を徹底しようとしているチームだと感じました。そこに関しては少し驚きました。
一方で、挨拶や規律がしっかりしていて、真面目な面は素晴らしいと思いますが、チームと付き合うにつれ、礼儀や、規律を守ることで満足している者も多くいることにも気づきました。今は、リーダーたちが中心になり、そのような上っ面だけ綺麗な部分を変えようとしている段階です。
要は順序が逆で、日本一になるために厳しい練習に取り組むなど、様々な努力を自分たちで積み上げ、その想いと行動を突き詰めた先に、礼儀や規律、そして周りの応援してくださる方々への感謝の気持ちを持つことの大切さに気付くことが重要だと思います。
まだまだ全員ではありませんが、自分自身の取り組みを変えてチームの文化を本気で変えようとしている人間が増えています。私から注意することも多くありますが、自ら自分自身を変えよう、成長しようと本気で取り組んでいる学生が増えてきているように感じます。
私たちが日々、不自由なく活動できていることは、当たり前のことではありません。今は、本当の意味で、礼儀や規律、感謝の気持ちを持つことが大切だと気付き始めているのではないかと思っています。
 
2.なぜラクーンズを選んだのか
仁木前監督、蓬田コーチに強く誘っていただいたことがきっかけです。チャレンジし甲斐があるチームだと思いました。私自身、学生、社会人の選手時には日本一になった経験がありますが、コーチになってからはXリーグのコーチ時にはライスボウルで負け、学生コーチ時には甲子園で負けているので、一度も日本一を経験していません。そういう点で、選手もスタッフも本気で日本一になろうと努力をし、自分たちの殻を破ってチームの歴史を変えるために足掻き目指しているものと、私自身が渇望しているものが似ていると感じました。次第に、私も中央大学でチャレンジしたいと思うようになり、ラクーンズのヘッドコーチになることを決断しました。
3.日本一について
日本一になる可能性はどのチームにもあると思っています。だからこそ、本気で取り組まないと、その可能性をモノにすることはできません。ラクーンズにも可能性は確実にあります。ラクーンズにはフットボールが好きで、誠実な人間が集まっています。しかし、荒々しさや迫力がまだまだ足りないと感じます。いい人のままフットボールのフィールドに出てプレーをしてしまっているようでは、結局、相手にやられてしまいます。ギラギラした気持ちと根性を全面に出してプレーをする選手を増やしていきたいです。フットボールは、とことん本気で取り組んだとしても、相手との勝負ですのでいつも自分たちが望むような結果が得られるわけでありません。ただ、本気でやらなければ可能性がゼロなのは間違いありませんし、皆がラクーンズに所属している意味がないので、可能性やチャンスを本気で自分たちの手で手繰り寄せ、奪い取ります。

4.ラクーンズをどういうチームに導いていきたいのか
フットボール面では、荒々しく最後まで徹底的にやり抜くチームにしていきたいと思っています。一方で、ただ荒っぽい強いチームであるだけではなく、フットボールを深く理解し、探求し、
自分の責任を徹底的に果たすチームにしていきたいです。そして「愛されるチーム」とはどんなチームなのか部員ひとりひとりに本気で考えさせていきたいです。気の良いやさしい人間であればいいのか?一方で強いだけでいいのか?フットボールさえ上手ければよいのか?どういうチームが人の心を掴み、どういうプレーが人を感動させるのか?自分たちが目指す「愛されるチーム」というのがどういうチームなのかを深く考えて行動に移さなくてはいけません。
また、普段の生活では、当然ですが、学生の本分である学業に高いレベルでしっかりと取り組んでほしいと思っています。そしてラクーンズ以外の学生や、教職員の方々からも心から応援していただける選手、チームになることが重要だと思います。そういうチームが一言でいうと「優勝する資格があるチーム」だと思います。
 
5.日本一に向けての心意気
決して「日本一」になることは楽なことだとは思っていません。大変苦しい道のりだとは思いますが、選手スタッフ問わず、全てを懸けて死に物狂いで取りに行く価値があるものだと思います。必死に取り組み、結果を掴み取ったとき、その結果とそれまでの努力は、間違いなくラクーンズに所属している学生たちにとって、大きな自信や財産になります。そして確実に、その後の人生が大きく変わります。そのためには、「日本一」にならなければいけないと強く思っています。だが、やるのは学生です。私はその力になりたいと思っています。
 
6.秋の試合に向けて
他校はどこも強いと思います。対戦相手のフットボールにかける気持ちの強さや、迫力は試合会場で漂い感じると思います。しかし、フットボールにかける意気込みや、その他全てにおいてラクーンズは対戦相手を上回ってみせます。チーム一丸で団結し、強い気持ちをもって挑みます。

7.OBの方々へ
今年からラクーンズの一員になりました。
私自身、中央大学とは、学生時代も、学生リーグのコーチ時も何度も対戦していますし、毎年良い選手を多く輩出していることを知っていました。今までOBOGの方々が積み上げてきたもの、築いてきたものを、最高の結果である「日本一」という形にしたいと思っています。多くの方々が悔しい思いをして、手が届かなかった場所に辿り着いてみせます。引き続き熱い応援お願い致します。
 
8.保護者の方へ
私も子供が三人います。長女は大学生です。ですので、保護者の皆様がどれだけ子供たちに愛情を注ぎ、期待をして、そしてどれだけ心配をしているか、私も子を想う親の気持ちを理解しているつもりです。ラクーンズの学生たちには、自分の子供と同じように厳しく、そして愛情を注いでいきたいと思っています。そして、卒業するときには、少しでも成長した姿をお見せできるよう、力を注いで参りますので、温かく見守っていただけますよう、よろしくお願いいたします。