【Before The Huddle 第7回】
平出敬太郎 「舞台に立つ」
神奈川県立横浜緑ヶ丘高校出身。
高校時代は野球部に所属。
ポジションはWRであり、LBにも負けないストークスキルと随所で見せる勝負強いキャッチングが魅力。
普段は多くを語らず一見寡黙な雰囲気だが、チーム全員から親しまれ、後輩達もその彫りの深い顔立ちから「ルパンさん」とあだ名で呼んでいる。
(4年 WR 背番号84 181cm 80kg)
《Q1高校野球時代の印象的な出来事はありますか?》
私は高校時代に硬式野球部に所属していました。
野球自体は小学校二年生の頃からやっており、ポジションは外野がメインでピッチャーもやっていました。
自分自身、野球を通して自分の思いをしっかりと伝えるということを意識し続けてきました。
その甲斐もあってか、高校最後の代には主将を務め、
誰よりも熱く全力で取り組み、1番練習しているという自負がありました。
しかし、最後の夏の大会で他のほぼ全員がヒットを打っているのにも関わらず、自分はチャンスでことごとく三振して5打数0安打3三振し、試合に負けるという非常に苦い経験をしました。
当時、自分はキャプテンとして練習の始めから終わりまでチームのすべてを規律正しく統制することが重要だと考えていました。
しかしそれは結局、チームが勝つ上でベストな選択肢ではありませんでした。
当時、素直な部員も多く、自分が言ったことを聞いてくれていましたが、きっと心のどこかで「言われているから真面目にやっている」という思いがあったと思います。
それは一見すると規律の取れているチームに見えるかもしれませんが、勝つためにベストな選択肢なのかと考えると、そうではないです。
例えば、練習前のアップでだらけている様で、一見統制が取れていないことがあり、当初は厳しく指摘していました。
しかし実際は、あえてかなりリラックスしたアップを行うことで集中に繋がる選手もいました。
一人一人に合ったアップの仕方があり、それがルーティンワークとなっている選手もいます。
必ずしも正しいと考えられる型にはめて統制することが正解ではなく、
規律の中で個々人の考えを尊重し、締めるところは締めていくことが重要だと感じました。
《Q2アメフト部に入部したきっかけは何ですか?》
入学当初、漠然と強くてかっこいい組織に入りたいという気持ちがありました。
当時はアメフトというものを全く知りませんでしたが、新入生の教科書販売所のところに立ちつくしていた時にアメフト部の方に声を掛けてもらったことが入部したきっかけです。
その後、RACCOONSが日本一という高い目標を掲げており、アメフトというスポーツの専門性が高く、特化すれば自分でも活躍できる余地があるのではないかと考え入部しました。
高校野球時代は20〜30人程度の規模でしたが、RACCOONSは100人を超える部員がいるので、当初は試合に出場できるか不安でした。
しかし先輩方がいい方ばかりで、この組織に入りたいという想いの方が強かったですね。
《Q3アメフトをやる上での一番のモチベーションは何ですか?》
あまり深くは考えたことはなかったのですが、前日の練習でできなかったことができるようになるということかもしれません。
日々の練習において、マネージャーの方々がビデオを撮って下さり、練習後に自分の実際の動きがビデオ通してわかるということは本当に素晴らしいことです。
他人からの指摘だけではなく、自分で改善するポイントを見つけることができるのはとても有意義です。
毎回の練習では、前回よりもっと良いプレーをしようということが僕の中でのモチベーションとなっています。
毎回の練習は確かに辛いこともありますが、練習が終わった後や試合に勝利した時の達成感は何にも代え難いものがあります。
その達成感もモチベーションの一つと言えるかも知れません。
《Q4試合に出場するまでに工夫したことを教えて下さい》
私は大学3年時から試合に時折出場できるようになったものの、1、2年時は全く出場することができませんでした。
なかでも1年時の時には上級生から
「このままやっても試合は出場することは今後も難しいと思うから、アメフト以外の他の道も考えたほうが良い」
と言われたこともありました。
2年時には、入部して間もない1年生にポジション内の順位を抜かされ非常に悔しい思いをしました。
そこまではただ単に全力でプレーをしていただけでしたが、そこからは具体的に自分には何ができて、長所とすることができるのか、
短所は何で、その短所を直すことに注力したほうが良いのかや、自分の適正ポジションは何かなどを考え、自分ととことん向き合いました。
その甲斐もあってか、現在では試合出場に至ることができました。
また、自分は未経験で大学からアメフトを始めたので、とにかく何でもやってみることを意識しました。
やはりやってみて初めてわかることが多くありますし、多くの学びを得ることができます。
アメフトはキック含め色々なポジションがあり、出場機会があります。
実際にやってみないと自分の特性を生かせているかわからないので、自分には向いていないと思っていたポジションにも挑戦してきました。
《Q5アメフトをやる上で大切にしている考えはありますか?》
アメフト問わず、私が大事に思っていることは、活躍できるかどうかは置いて、まず「活躍できる舞台に立つ」ということが大切なのではないかと考えています。
アメフトだと舞台に立つということは試合出場であり、
とにかく自分のやりたいようにやって試合に出場するのは理想ではありますが、そうできる人間は少ないと思います。
また、実力では勝っていると思っていても自分に対しての評価されているポイントが違う場合、評価されずに試合に出場することができないかもしれません。
なので、外から評価される自分の中の強みを生かしてやっていくことが非常に大事な事ではないかと思います。
このようなことを言うと、
「それは自分の思い通りではなく、評価を気にしているだけだ。」
と思う人もいると思いますが、それで良いと思います。
なぜなら、まずは試合に出場しないと意味がないからです。
また、オフェンス、ディフェンス、キック問わずとにかく試合に出場できるポジションをなるべく早く獲得することが大事だとも考えています。
なぜなら、ひとつでも獲得することでそのポジションに対しての1本目、スターティングメンバーとしてのメンタルがつくられていくからです。
そうすることで他にも良い波及効果が必ず生まれてきます。
これらが4年間アメフトと関わっていくなかで得ることのできた教訓です。
(Photo by Yuko Watanabe)
《Q6今までの試合での印象深いシーンはありますか?》
去年の秋の早稲田戦です。
自分がローテーションで初めて出場できた試合であり、試合自体は負けましたが緊張下の中でキャッチできたことは、プレーする上での自信に繋がりました。
(photo by imiaq )
《Q7注目してほしいプレーを教えて下さい》
自分個人のキャッチにも注目してほしいですが、
QB.WR.TEのワイドユニットが一体となって、相手ディフェンスをかき回すパス攻撃にもご注目下さい。
ご声援よろしくお願いします。